第6章 6
ブーっと僕のズボンからスマホのバイブが鳴った。
確認するとターゲットの妻からだった。
〈主人が今帰宅しました。〉
メールにはそう記載されていた。
時間的にそろそろ着く時間だとは思っていた。
〈では説明の通り盗聴器は回収お願いします。報告書をお渡しする時に返していただければと思います。〉
そう妻に返信をしてスマホをポケットに入れる。
「柚希さん、男性が家についたと連絡がありました。なので僕たちもそろそろ帰りましょうか。」
「そうなんですね、了解です。」
そう言って2人で歩き出した。
駅からコインパーキングまではそう遠くない距離だ。
「安室さんはこれからこの証拠の書類作成をするんですか?」
「そうですね、まぁ今日は少し用事がありますので後日ですけどね。」
「安室さんって気遣いができて料理やお菓子、美味しいミルクティーが作れて、尾行ができて、その上報告書まで自分で作れるなんて本当多才なんですね!すごいっ!」
「… そんな、たいしたことではありませんよ。」
彼女の真っ直ぐな瞳を向けられて照れくさくなる。
「え!ほんとすごいのに!私だったら絶対に自慢しちゃいますもん。」
「ふふ…、ありがとうございます。褒め言葉として受け取っておきます。」
彼女と話しているととても穏やかな気持ちになれる。
安室透でもバーボンでも公安の降谷零でもない、偽りのないただの僕でいられるような気がした。
side安室透 end