第6章 6
side安室透
改札を出てから彼女はコンビニに向かった。
僕はスマホを取り出すとスケジュールを確認する。
今日の夜は組織で仕事があるし明日はまた開店からアポロだ。
…この後警察庁に行くか…。2.3件目に通しておきたい案件もある。
その前に車で彼女を送り届けてから彼女の痕跡を消さなくては。
もしベルモットが車に乗り彼女の存在がバレては困る。
彼女に危険が及ぶことはもっとも避けなければいけない…。
しかし日中は暖かったのに夕方になるとすこし冷えるな。
悴んだ指先を擦り合わせていると
「おまたせしました。」と言いながら彼女はお茶を両手に帰ってきた。
カイロ代わりにと差し出されたお茶をみて、僕は僅かに目を見開いた。
僕は代金を支払おうとしたけど、彼女は「話を聞いてもらったお礼」だと言ってお茶を渡してくれた。
話を聞いたのは僕が聞きたかったからだ。
お礼を言われるようなことをしたつもりもなかった。
むしろあいつらとの繋がりがあることや彼女のトラウマが聞けてよかったとさえ思っていた。
だが、彼女のその気遣いと優しさに断るのも悪いと思い、ありがたく受け取ることにした。
………律儀だな。
「ありがとうございます。」
そう返答すると彼女ははにかんだ。
その笑顔をみると僅かに僕の心臓がとくんと鳴った。
受け取ったお茶で悴んだ指先もじんわりと暖かくなってきた。