第6章 6
コインパーキングに着いた。
朝と同じようにRX7が停まっていた。
けれど時間帯が違うからか、私の気持ちが違うからか少し表情が違うように見えた。
ガチャッ。
「どうぞ、乗ってください。」
朝と同じように安室さんは助手席のドアを開けてくれた。
相変わらず紳士だ。
お礼を言って助手席に乗り込んだ。
駐車料金を支払った安室さんも運転席に戻ってきた。
「お待たせしました。じゃあ出発しますね。」
パーキングから出た車はゆっくりと米花町の方に向かって行った。
車内では特に会話はなく、ラジオから聞こえる女性歌手の美しい歌声が耳に届く。
移りゆく景色を見ながらぼーっと今日のことを振り返った。
尾行は初めてで緊張したけど安室さんがリードしてくれて安心できた。
恋人設定だったからか安室さんのスキンシップが多くてドキドキとしっぱなしだったな。
あと、公園では安室さんにじんぺーくんや研ちゃんの話をした。
やっぱり辛かったけど、不思議と安室さんには聞いて欲しかった。
安室さんは急かしたり、否定したりせずに黙って私の話を聞いてくれて、私の心に刺さっていた棘が少しずつ溶けていくような気がした。
最後の最後で電車の中で失敗してしまった。
それも安室さんがフォローしてくれて、今こうして心穏やかでいられる。
こう考えると私の心は忙しい1日だったな。
でも…私ばかりが助けてもらってる。
「…安室さん。私って今日役にたてたでしょうか?」