第6章 6
安室さんに続いて歩いていくとホテルとビルの間に着いた。
向こうからは公園の木などが邪魔してこちらの位置はバレにくそうだ。
少しの沈黙の後
「出てきましたね…。」
安室さんの声にホテルの出口に目を向けると仲良さそうに手を繋ぎ出てきたのが見えた。
安室さんはカメラを構えて何枚か写真を撮っていく。
「後は女性と別れるところまで尾行を続けます。もう少しなので頑張ってください。」
「はい!もちろんです!最後まで気を抜かないようにしますね!」
安室さんはくすっと微笑んでから歩き出した。
いつも通り歩幅を合わせてくれながら。
………この笑顔に何度もドキッとしたのかわからない…。
少しの鼓動を感じながら気を抜かないようにグッと拳を作った。
その後はバレないように少しターゲットと距離をとり電車に乗り込んだ。
そろそろ帰宅ラッシュの時間なのか人も少し多い。
すこし体をよじりながら人を避けるが電車の揺れでなかなか安室さんの隣にいけずにいた。
「柚希さんこっちです。」
人にぶつかりそうになった私の腕を軽く引いた安室さん。
うまい具合に人をかき分けて窓際まで連れて行ってくれた。
「安室さんありがとうございます。お手数おかけしています…。」
「いえいえ、無事でよかったです。」
そういうと、安室さんの手が私の頭にポンっと乗った。
「ーひゃっ!!!?」
でもすぐにハッとした。
両手で口を塞ぐ。
………まずい…。絶対声…大きかったよね…。気づかれていませんように…。
背中に嫌な汗が伝うのを感じた。