第6章 6
しばらくして落ち着きを取り戻した彼女は少し目が赤かったが穏やかな顔をしていた。
その顔に僕はほっと胸を撫で下ろした。
彼女は唐突に僕のことを「魔法使いみたい。」と言った。
いまだかつてそのように言われたことはない。
………優等生や冷徹と言われている僕が魔法使い…。
僕はおかしくなって笑ってしまった。
でも彼女が笑えるなら…
「魔法使いにでもなりますよ。」
おまえらが彼女を笑顔にしていたように僕も彼女の笑顔を守りたい。
そう思った。
そのあと言葉を詰まらせたり、少し焦った様子を見せた。
それがすこし面白くて、可愛くて…。
「元気になりましたか?」
「はい…。」
「それならよかったです。」
触れている彼女の指先は震えが止まり、どちらかと言うと少し熱く感じた。
「またなにかったら話を聞いてほしい。」という言葉に少し驚いたが彼女がそれで楽になれるのであれば喜んで聞こうと思う。
「何度だって聞きます。」
そう伝えると嬉しそうに「ありがとう。」の返答が返ってくる。
彼女はとびきりいい笑顔でこちらを見ている。
「そう、その笑顔です…。柚希さんには笑顔が似合います。」
お互いが笑顔になる。
僕の心がにわかに暖かくなるのを感じた。