第6章 6
彼女は「落ち着いた」と言ってよかった。
この前よりは大きな発作にはならなかったようだ。
ただ僕のほうを向いた彼女はどこか申し訳なさそうに眉を下げていた。
まるで迷惑をかけたとでもいうように。
彼女にそんな顔をして欲しくなくて気づけば頬に手を添えていた。
彼女は戸惑ったのか視線を逸らした。
「安室さんはいつもいつも…。」と言いながら言葉が途切れた後、急に彼女の頬が赤く染まっていった。
………先ほどまで青ざめていた顔が、今度は赤く染まっていく。
「どうかしました?」
彼女は慌てた様子で「なんでもありません!」と言った。
その声は少し大きくて彼女が少し元気になれたのだとわかった。
その後は特に言葉を交わさなくても、不思議と気まずさはなかった。
穏やかな時間だけが静かに流れていった。
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穏やかな時間が少し流れた後、ふいに彼女が僕の名前を呼んだ。
「安室さん。」
「はい。」
彼女はすこし迷うような表情をして口を開いた。
「この前の話を聞いてほしい。」
そう言った彼女の声は少し硬かった。
きっとあの言葉に関する話だろう。
しかしさっきの今だ。
「大丈夫ですか…?無理に話さなくていいんですよ?」
「いえ、安室さんにきいてほしいんです。」
そういう彼女は意を決したような表情だった。
きっと話すのは怖いはずだ。
先ほどから手に力が入っているのがよくわかる。
「へんな日本語になったりしたらごめんなさい。」
………自分がこれから辛い話をするのに僕を気遣ってくれた。
「うまく話そうとしなくていい」と伝えると彼女は「ありがとう。」といった。
彼女は一呼吸置いてから話し始めた。