第6章 6
side安室透
彼女とコンビニで飲み物を買いベンチでゆったりとした時間を過ごす。
とても穏やかな時間で心地よい。
どこでも事件など起きていない、まるで平和な日常の中にいるようだった。
………こんな何気ない時間も悪くないな。
そんなことを考えていると近くから『爆弾』という言葉が聞こえ、反射的に視線をやる。
………これは職業病だな…。
僕にとっては馴染みのある言葉だ…。
………そういえばここはこの前の小さな爆弾騒ぎがあった場所だったか…。公安が動くほどのことはなかったが、ニュースでも取り上げられていた。
彼女の方からペットボトルが鳴り、その後大きく息を吸う音が聞こえて目を向ける。
………顔真っ青じゃないか…。
この前のアポロでのことを思い出した。
またあの時と同じような症状か…。
「大丈夫ですか?」
彼女は無理に笑顔を作り「待ってください。」と言った。
………また無理に笑っている。僕の前ではありのままの表情でいいのに…。
僕は彼女の手に触れ反対の手を背中に回した。
この前と同じように背中を規則正しく優しく叩く。
次第に彼女の呼吸や顔色が戻ってきた。
………よかった。
爆弾…。彼女の様子がおかしくなったのはその言葉を聞いた後だった。
きっと松田や萩原のことを思い出したからかもしれないな。
本当のところはわからないが、彼女があの言葉で苦しんでいるのはわかった。