第5章 5
「……、私の話に出てくる幼馴染なんですけどね、どちらももう亡くなってるんです…。2人は小さい時から家が近くて私のお兄ちゃんみたいな存在でした。」
ぽつぽつと話し出すのを安室さんは頷きながら聞いてくれている。
「2人共警察官で爆弾を解体する、爆発物処理班にいました。1人は7年前、もう1人は3年前に爆弾で殉職…してしまったんです。」
暖かい飲み物を持っているのに指先は冷えていくようだった。
「そこからですね…、爆弾とか爆発がやけに怖くなってしまったのは。実は私も3年前までは警察官で爆発物処理班に居たんですよ。…意外でしょう?」
安室さんは少し悲しそうな顔をして「…いいえ。」と言った。
「私は3年前に彼が殉職したところを目の前で見てしまったんです…。」
あの日の光景が頭をよぎり、息が詰まりそうになった。
「その日は毎年爆弾魔が犯行予告してくる日だったから、私はいつでも行けるように待機してたんです…、でも間に合わなかった……。」
またペットボトルが鳴る。
「私が…もう少し早く現場に着いていたら…って。何度も、何度も考えちゃうんです。だから今も爆弾とか急にみたり、聞いたりするとその時のことが脳裏に浮かんできて、しんどくなっちゃうんです…。」
「彼はその時捜査一課だったからほんとは私が解体しないといけなかったのに…。」
気付けば呼吸が浅くなっていた。
胸の奥が締め付けられる。
うまく息が吸えず、私は一度言葉を切って大きく息を吸い込んだ。
その時冷えた指先に不意に温もりを感じた。
顔をあげると安室さんの手が私の手に重なっていた。
安室さんはなにも言わない。
この行動に私の心がほころんでいった。