第5章 5
「柚希さんどうかしました?」
不思議そうな安室さんの声に私はますます恥ずかしくなった。
「なっ!なんでもありません…!」
慌てて首を振る。
安室さんはすこし困った顔をして「そうですか。」と笑った。
安室さんはいつも無理に理由を聞いてこない。
その気遣いが私を助けてくれる…。
その後私も安室さんも黙ったまま時間が過ぎた。
穏やかな風で木々が揺れる音や噴水の水の音。
………あっ、ここにも紅葉がある。もうほとんど散ってしまっているけど。
光に当たって綺麗…。
じんぺーくん、研ちゃん…2人のお墓に行った日も紅葉綺麗だって思ったんだよ…。
2人のことを思い出すと胸の奥がぎゅっと苦しくなる。
今この穏やかな空気で私の心臓や呼吸も落ち着いた。
ーー爆弾…。
この前も安室さんは無理に聞かないと言ってくれた。
………でも…。
私はペットボトルの蓋をそっと握る。
「安室さん…。」
「はい…。」
安室さんは静かに返事をしてくれた。
「あの、この前言っていた話を聞いてほしいんです…。」
「大丈夫ですか…?無理に話さなくていいんですよ?」
私は首を横に振った。
「…いえ。安室さんに、聞いてほしいんです。」
安室さんは真剣な顔をしてうなづいてくれた。
「わかりました、でもしんどくなったら言ってくださいね。」
「話してる最中、詰まったり、変な日本語になってしまったらすいません。」
「大丈夫、構いませんよ。うまく話そうとしなくていいですから。」
「ありがとうございます。」と返事をする。
ペットボトルを握る手に力が入った。