第4章 4
一定距離を保ちながら尾行するとターゲットたちはビルとビルの間の階段を降りていき、重たい扉を開けて入って行った。
看板はなく、ドアに店の名前だけが記されていた。
安室さんはスマホでなにかを確認したあと私の手を取った。
「柚希さんここ入りますね。調べたところどうやらカップルでの利用が必要のようです。僕1人だと入れませんでした。NAME1#さんが一緒にきてくれてよかったです。すいませんが手繋ぎますね。」
そういって安室さんは私の右手に指を絡ませて歩き出した。
所謂カップル繋ぎというやつだ。
指先がじんと暑くなる。
………ドキドキする…。手汗大丈夫かな…。
「きっ、緊張しますね…。」
この緊張は手を繋いでいるからなのか、それともこれからの潜入に関してなのか。はたまたどちらもなのか…。
「大丈夫ですよ。僕に任せてください。表情が硬いのでかわいいお顔が台無しですよ。」
「なっ!」
安室さんは恥ずかしげもなくそう言った。
もちろん嬉しかったが、可愛いとか言い慣れてそうな安室さん。
誰にでも言っているのなら嫌だなと、少しだけムッとしてしまった。
でも、悟られたくなくて口角をあげて笑っておいた。
安室さんはクスッと笑いながら繋いでる手をぐっと引っ張って壁際に追い詰められた。
「台無しなんて言いましたけど、ムッとした顔ももちろんかわいいです。それに柚希だけにしか言いませんよ。」
安室さんにはバレていて途端に恥ずかしくなった。
この状況も照れる。
これじゃあまるで壁ドンのようじゃないか。