第4章 4
車で20分程度走ったところでコインパーキングに車を停めた。
ターゲットの家から少し離れた場所でここから歩いて行くとのことだった。
「じゃあ、今日はよろしくお願いしますね。彼女役とのことなので、場合によっては手を繋いだりするかもしれませんが大丈夫ですか?」
「大丈夫です!よろしくお願いします。緊張します…。」
………むしろお願いしたいです。
「ふふっ。大丈夫、リラックスですよ。」
安室さんは私を安心させるように頭をポンポンと撫でてくれた。
不意の接近で心臓が大きく跳ねた。
頭を撫でられた場所がじんわり熱を帯びる。
このまま顔を見られたら絶対に気づかれてしまう。
ぽぽぽっと頬に熱が集まるのを感じ慌てて安室さんから視線を逸らして前を向いて歩いた。
ターゲットの家まで話しながら進むと一軒家が見えた。
安室さんはここだと言いながらスマホでメッセージを打っている。
「旦那さんは毎日朝8時40分くらいに家を出るそうです。出てきたところから尾行開始しましょう。あまりターゲットのことをじっと見ずに僕の方を見ていてくださいね。尾行している側がターゲットを見過ぎると、逆に目立ちますから。」
「了解です!」
ーーーーーー
そのまま私たちは家の見える位置で待機した。
緊張してすこし手汗が滲み出るのを感じ、服で拭う。
そしてーー
8時40分すぎに家からビシッとスーツを着た男性が出てきた。
………あの人が今日の尾行の相手か。
ターゲットは時折スマホでメッセージを打ちながら駅の方に向かって歩いて行く。
私たちも距離を取りながら尾行開始した。
ばれないように。そう自分に言い聞かせながら、私は安室さんの後を追った。