第3章 3
「……さん、……柚希さんっ!」
肩を揺らされながら名前を呼ばれてはっとして顔をあげるといつの間にか安室さんが立っていた。
………安室さん戻ってきたのがわからなかった…。落ち着かなきゃ、安室さんに心配かけちゃったかな…。
大丈夫の意味を込めて笑顔を作ったが安室さんは私に無理に笑わなくてもいいと言ってくれた。
そして前から私を軽く抱え込むと左手を後頭部に当て引き寄せて右手を背中をトントンとしてくれる。
………安室さん…。……またやっちゃったな…。米花町って爆弾事件多いし、これからこの街に住むんだからいちいち取り乱さないようにしないといけないのに。
構えてからニュースを見たり聞いたりするのは大丈夫になってきたけど、突発的だと毎回このような状況になり自己嫌悪に陥る。
私が考え事している間も安室さんは何も言わずに背中をトントンと優しく叩いてくれている。
その規則正しいゆっくりとしたリズムと安室さんの暖かい体温に私の心臓の音や呼吸も落ち着いてきた。
「あ…の、ありがとうございました、ご心配おかけしてごめんなさい…。」
安室さんのエプロンを軽く引っ張りながら声をかけると安室さんはゆっくり離してくれた。
「…うん、さっきより顔色も良いし呼吸も落ち着きましたね。よかったです。僕そろそろお店閉めようと思ってたのでお家の近くまで送ります。」
「いえいえ大丈夫です。いま安室さんがトントンしてくれたから落ち着くことができました。なので帰れます。お気持ちだけいただきますね。その…安室さんは何も聞かないんですね。」
「まぁ、気にならないと言えば嘘になります。でも無理に聞くことじゃない、柚希さんが話してもいいと思ったら教えていただきたいです。」