第3章 3
安室さんの顔に見惚れていたが、はっとして目を逸らした。
「さっ、さっき指名してくれるとか言ってませんでした?」
「…そうですね、でもできたら他の男性の接客はしてほしくないですね…。」
「えっ、」
安室さんはそういうとトレーに飲み物を乗せてカウンターから出て行った。
………なっ!嬉しいと思ったらダメ…、安室さんからしたら深い意味はないんだろうし。
そんなこと思いながら私はこのニヤけた面をどうにかしなくてはいけなくて、両手でほっぺたをぱちんと1回たたいた。
「なにしてるんですか?」
「ひゃっ!」
急に耳元で声がしてびっくりして変な声がでた。
ばっと横をみると思いのほか近い距離に安室さんが居て笑っている。
………なんて整った顔をしておられるのでしょう。毛穴ひとつない。ってちがう!
「あむっ、安室さん近いです!」
近すぎて恥ずかしくて顔を背けると安室さんはくすくす笑って離れてくれた。
「ほんと柚希さんは反応が素直ですね。」
カウンターに戻った安室さんが「ミルクティー、まだ飲みますよね?」と言って作ってくれている。
その様子をじーっと観察する。
………安室さんって誰にでもこんな感じなのでかな?嬉しいけど複雑。はぁ…。すごいな。ずるい人だ…。
「…柚希さん、顔に出てます。」
「えっ!!いやいや、決してずるいなんて思ってないですよ!」
「ふふ。言葉にも出しちゃってます。僕はずるくないですよ、……本当のことしか言ってないです。」