第10章 10
家に着いた。
コートとマフラーを脱ぐ。
冷えた部屋にぶるっと体が震え、すぐさまエアコンの電源をいれた。
手を洗ってから、クローゼットを開けた。
「んー…どこにしまったかな。」
引越しして数週間経つけどまだ開けていない段ボールたち。
ただそんなに数はないのですぐに見つかりそうだ。
カッターナイフを取り出し、段ボールの封を開けてみていく。
1.2個と箱を開けるけどない。
「あれ…、ないな。」
そう思いながらも4つ目の箱を開けた時、ちらっと犬の柄が見えた。
「あー!あった!」
かわいい犬が着いたひざ掛け。久しぶりにみた。
思わずぎゅーっと抱きしめた。
自然と笑みが溢れる。
開けた段ボールをクローゼットの中に戻した。
いつものように棚から写真を持ち、ベッドに座る。
「みてみて!これ研ちゃんとじんぺーくんがくれたひざ掛け!」
私はひざ掛けを抱いたまま写真に話しかける。
「今日はクリスマスだったからすごい思い出しちゃった。あの時は嬉しかったな。」
それから私はポアロでの出来事を話した。
きっと私は自然と笑顔になっていたと思う。話し終えた時、口角が上がっていた。
写真を棚の上に戻した時ふとあることを思い出した。
「あっ、そうだ。」
私はこの前デパートで自分用に買ったショコラを取り出した。
「2人にもお裾分け。メリークリスマス!」
そう言って写真の前に置いた。
写真の2人は変わらぬ笑顔のまま。
いつも見ている写真だけど、その笑顔を見ると胸の中はポカポカと暖かくなった。
「…大好き。」
小さく呟いた言葉は、静かな部屋へそっと溶けていった。