第10章 10
フライパンの中で出来上がっていくナポリタンを見てやっぱり食べたくなった。
「よろしければ、ナポリタンお作りしましょうか?」
じっと見過ぎでいたのか、お腹の音が聞こえてしまったのか…。
「すいません、あまりに美味しそうで…。我慢できなくて。お願いしてもいいですか?」
「ええ、もちろんです。」
梓ちゃんが一皿目のナポリタンを運ぶと安室さんは私のナポリタンを作り始めた。
香ばしい匂いが漂ってきて、またお腹が鳴りそうだ。
安室さんは出来上がったナポリタンをお皿に盛り付け、粉チーズやパセリを綺麗に散らした。
「よし…。柚希さんお待たせしました。」
「ありがとうございます!」
フォークでクルクルとナポリタンを巻いて口に運ぶ。
もっちりとした麺に甘酸っぱいケチャップソースが絡み、口いっぱいに旨みが広がる。
バターのコクや香ばしさも加わりもう幸せだ。
………もう、何回でも言おう。安室さんは天才。自分で作ってもこんなに美味しくならない。きっとあれだ。最後に美味しくなる魔法でも入れてるのかもしれない。
「ふふ。」
その笑い声で変な想像をしていた私は我に返った。
「はっ…!また顔に出てました?」
「ええ。でも今回は笑った後に、こう、何処となく納得されたような顔をして頷いておられました。」
「わっ!やっ、やだ…顔に出過ぎ…。」
恥ずかしさで頬がじんわり熱くなる。私はその熱をごまかすように、両手でパタパタと顔をあおいだ。