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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第48章 【第四十三話】崩れゆくホーム



『――コムイ』

低い声が、頭に直接響く。

「ヘブラスカ!」
『急げ』

いつもの静けさに、僅かな焦りが混じっていた。


『私の内のイノセンスと、箱を回収しろ』
「分かってる……!」

『それに……』

一瞬の間があった。


『ルベリエが、リナリーをここへ連れてくる……っ』

コムイの表情が、凍りついた。


「……何だって?」

答えは返らなかった。


眼鏡の奥で、瞳が大きく揺れる。
コムイは、拳を白くなるほど握り締めた。

「……リナリー」

絞り出すような声だった。


ティファは、その横顔を見ていた。


いつもの余裕は、もうどこにもなかった。

何か言おうとして、喉が痛んだ。
代わりに、昇降機の手すりを強く握る。

その時だった。

遠くから、けれどはっきりと、最後の数字が響いた。


「いち」

――ビキッ。

上層で、嫌な音が響く。


ファインダー達が、一斉に顔を上げた。


光の檻に、亀裂が走る。

一つ。

二つ。

――バキィィィィン!!

光の檻が、砕け散った。


「結界が……っ!!」

無線が悲鳴を上げ、その向こうから、くすくすと笑う声が聞こえる。


「にげられませんよ」

「『しっちょう』」


誰かが、息を呑んだ。


頭上を遮るものは、何もない。

その遥か上――吹き抜けの暗がりの奥から白い影が真っ逆さまに落ちてくる。


速い。

そう思った時には、レベル4の顔がすぐ目の前まで迫っていた。

「つかまえた」

逆さまのまま、心底楽しそうに笑っている。


小さな手が持ち上がり、その掌に禍々しい光が集束していく。


ティファは咄嗟に昇降機の中央へ踏み込んだ。
二本のレイピアを頭上で交差させる。

「銀幕――シルバー・ヴェール!」


交差した刃を起点に、銀白の光が一気に広がった。

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