• テキストサイズ

【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第48章 【第四十三話】崩れゆくホーム



若いファインダーは、少し迷うようにティファを見た。

「ヨハンです。あの夜……廊下に、いました」


神田の肩口から、鮮血が溢れていた。


「神田」

「このぐらい、どうってことねぇ」

傷口が、じわりと蠢く。
裂けた肉が、ゆっくりと再生し始めていた。


「神田くん……! 僕を、庇って……ッ」

コムイの瞳が揺れる。


寿命をムダには――。

先ほどのコムイの言葉が、ティファの耳の奥で反響した。



その時、瓦礫の向こうで呻き声がした。
先ほど光線が肩を掠めたファインダーが、ふらつきながら上体を起こしている。

「室長……お怪我は……?」


「ああ。ありがとう。君も大丈夫かい?」

「はい。自分は――」

言葉が止まった。


頬に触れた指先が、ぼろりと崩れる。

目元から、黒い斑紋が一気に広がった。


「……っ」

コムイが、咄嗟に目を逸らす。

次の瞬間、ファインダーの身体は音もなく灰となって崩れ落ちた。



ヨハンは、その灰を見つめたまま動けずにいた。
盾を握る手だけが、震えている。


ティファは息を整え、崩れた通路の奥を示した。

「……動けない人達を、ゲートまで連れて行って」

「でもっ……」
「動ける人が、必要なの」

ヨハンが、唇を噛む。

深く一礼して、彼は通路の奥へ走り去った。



神田は、それを一瞥すると、金網に突き立った刀を引き抜いて立ち上がる。

鋭い目で、崩落した上層を睨み据えた。



その遥か上から、楽しそうな笑い声が降ってくる。

「クスクスクスクス……」


ティファの喉元で、紋章がびり、と熱を持つ。



笑い声の奥で、廊下で聞いたあの泣き声が――今までで一番近く、響いた。


/ 1148ページ  
※結果は非表示に設定されています
エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:なごんだエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白い
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp