• テキストサイズ

【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第48章 【第四十三話】崩れゆくホーム


その着地音に、操作盤を確認していたコムイが振り向いた。


「ティファちゃん、神田くん!?」

昇降機へ乗り込んだ二人を見て、目を見開く。

「キミ達は避難!」


神田はコムイを一瞥しただけで、動かなかった。

ティファも鉄柵を握ったまま、降りようとはしない。


「か、神田先輩が行くならオレも……!!」

チャオジーが昇降機へ駆け寄ろうとする。

「乗ったら処罰するよ!」
「うっ……」

コムイの鋭い声に、チャオジーの足が止まった。

握り締めた拳に、爪が食い込んでいる。
悔しさを噛み殺すような顔で、それきり動かなかった。


神田は、コムイへ視線を向けた。

「ヘブラスカの所には、今、俺の六幻もあるんだ。『取ってこられませんでした』じゃ、シャレにならん」

コムイが、言葉に詰まる。


「結界も、そう長くはもたねぇ」

淡々と、神田は続けた。

「いざって時は、俺が盾になる」


その一言に、コムイの顔色が変わった。

「馬鹿を言うな! そんなことで、キミの寿命をムダには……っ」


神田の眉が、僅かに動いた。
それから鼻で笑い、刀を肩へ担ぎ直す。

「じゃあ、せいぜい……俺の迷惑にならねぇよう、逃げ切るんだな」


コムイは、何も言い返せなかった。


ティファもレイピアを握ったまま、真っ直ぐ前を見ていた。

ここで降りるつもりはなかった。


「……お前も、引き返すなら今だぞ」

ティファは、答えなかった。

神田は舌打ちをひとつ落とし、背を向けた。


「――無駄死にすんなよ」

振り向かないまま、それだけを告げた。


「よん」

遠くで、声が数える。


「降下!!」

コムイが操作盤を叩いた。

――ガコンッ。

昇降機が一気に降下を始める。



風が唸り、赤い非常灯が次々と上方へ流れていった。


/ 1148ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp