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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第48章 【第四十三話】崩れゆくホーム


別のファインダー達が、コムイの周囲を固めた。

神田が刀を手に、その背後を守るように続き、ティファも脇腹を押さえてあとを追った。


「おや」

背後から、赤子のような声が追ってきた。


「どこへ、いくつもりですか」

「『しっちょう』」

ティファが走りながら振り返る。


光の檻の中で、レベル4が小さな手を持ち上げていた。

「あそんで、あげましょう」


そして。


「じゅうびょうだけ、あげます」

ティファの呼吸が止まった。



十秒。

そんな数字を、まるで遊びのように口にする。


「じゅう」

数え始めた声に、コムイが叫んだ。

「走って!! イノセンスを回収するんだ!!」


吹き抜けの中央には、手すりで囲われた金網の昇降機が宙に浮いていた。

「きゅう」

遠くから、数える声が追ってきた。


その間隔は不自然なほど長い。
獲物が焦る様を、じっくり味わうように。


「急げ!!」

コムイがファインダー達を先に押し込んでいく。


ティファは脇腹を押さえながら、昇降機の鉄柵に手を掛けた。
片足を持ち上げただけで、帯の下に鋭い痛みが走る。


指に力を込め、身体を支え直した時、若いファインダーと目が合った。

その顔が、強張る。

――あの夜、廊下で跪いていた人だ。


怯えの向きが、AKUMAではなく自分だと分かった。


彼はすぐに目を伏せ、盾を構え直す。

ティファを恐れている。

それでも盾を下ろさず、コムイを守ろうとしていた。


胸の奥が、僅かに軋んだ。


今ここで足を止めれば、彼の覚悟まで無駄にしてしまう。

ティファは鉄柵を握り直し、それを支えに昇降機へ足を踏み入れた。

黒いブーツの底が、金網を小さく鳴らす。


――ガンッ。

すぐ隣に影が降り立った。


神田だった。


刃の欠けた刀を手に、当然のように昇降機の縁に立った。


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