第48章 【第四十三話】崩れゆくホーム
『このままでは……被害が大きくなるばかりだ』
警報の音だけが、無意味に鳴り続けている。
『イノセンスさえあれば、本部は立て直せる』
コムイは、何も言えなかった。
答えられない。
それが答えだと、自分でも分かっていた。
――ミシ。
嫌な音が響いた。
ファインダー達の顔が、一斉に青ざめる。
結界の内側で、レベル4が光の壁を指先でなぞっていた。
「かたい」
くすくすと笑う。
「でも、こわれる」
――ドォン!!
結界の一面が、内側から砕け散った。
「っ……!!」
タリズマンが吹き飛び、ファインダー達が悲鳴を上げる。
「こわれた」
レベル4が笑いながら、白い腕を振り下ろす。
神田が前へ出た。
――ガキィン!!
受け止めた刃が根元から軋み、神田の足元で床が削れた。
「チッ……!」
ただの刀は、今にもへし折れそうに大きく歪んでいる。
白い腕が、刃ごと神田を押し潰そうと、さらに沈み込んだ。
その瞬間。
――ギィン!!
横合いから二本の銀白の刃が差し込まれた。
交差した二刀が白い腕を受け止め、飛び込んできた勢いのまま、その軌道を外へ押し逸らす。
神田にかかっていた重圧が外れた。
白い上衣の裾が翻り、長い銀の三つ編みが弧を描く。
神田の斜め前へ着地したのは、ティファだった。
着地の衝撃に膝が揺れる。
腰を締める黒い帯の脇から滲んだ鮮血が、白い上衣を染めていた。
「……何してやがる」
神田の視線が、広がる血の跡へ落ちた。
ティファは荒い呼吸を押し隠し、二本のレイピアを構え直す。
「……加勢する」
蒼白な横顔は、レベル4へ向けられていた。