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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第48章 【第四十三話】崩れゆくホーム




――ああ。

こいつは、本気だ。


本気で、自分の命まで差し出すつもりなんだ。



「私はきっと」

小さな声だった。

「ホームのみんなや、兄さんを守れるなら……」



扉の向こうで、長い沈黙が落ちた。



「『死んでもいい』って?」

リナリーの肩が、大きく跳ねる。


「みんなやボクの為なら、自分の命はどうなってもいいのか?」

「ち、ちが……っ! 私は……」

細い声だった。その先が出てこない。


――何か言え。

そう思うのに、頭の奥では、さっき答えの返らなかった問いが鳴り続けていた。


――ティファは、どこにいる。


リナリーへかける言葉を見つけられないまま、扉の向こうから、聞いたこともないほど弱い声が落ちた。

「ここにいてくれ……。お願いだから……」


扉へ押し当てたリナリーの指先が、強張った。

「……兄さ……ん」


返事は、なかった。


代わりに、遠くから通信の声が響く。

『室長! マリとミランダが到着しました』


「……すぐ行く」


足音が、遠ざかっていく。


やがて、それも聞こえなくなった。

リナリーは、扉へ額を預けたまま動かない。


ラビはその横顔を見つめたが、何も言えないまま婦長を振り返った。

部屋の中には、警報の音だけが響いている。


「……婦長。ティファは、どこさ……」




婦長は、すぐには口を開かなかった。


やがて、低く息を吐く。



「呼び止めたわ」

その一言で、全部が分かった。


「戻りなさいと言ったのに、あの子、振り返りもしなかった……」


心臓が、嫌な音を立てる。

「……嘘だろ」


大丈夫だと、さっき自分で決めたばかりだった。

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