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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第48章 【第四十三話】崩れゆくホーム




ほんの一拍遅れて、扉の向こうからコムイの声が返った。

「どうシンクロするつもりだい? 装備するだけじゃ、キミのシンクロ率は十パーセント以下だっただろう。それに……」

リナリーは、扉へ額を押し当てるようにして叫ぶ。

「昔……っ、見た実験……!!」


「……! なに?」

「え、エクソシストをつくる実験……あったでしょ……」



聞いたことがある。

記録の中でだけ。


適合者ではない人間に、イノセンスを強制的にシンクロさせようとした実験。

イノセンスに拒絶された身体は、咎落ちと化して暴走し、やがて崩壊する。


形は違っても、似たものを戦場で何度も見てきた。

勝つため。

足りない兵を補うため。
より大きな力を手に入れるため。


必要だという言葉さえあれば、人間は、同じ人間を材料にできる。

人間ってのは、どうしてこう――。



リナリーの声は、僅かに震えていた。

怖くないはずがない。


それでも、言葉を取り消す気はないのだと分かった。


「あの時は適合者じゃない人達だったから……。でも私なら、イノセンスに応えられるかもしれない……!」

「馬鹿なことを言うな!」

コムイの声が、初めて荒れた。


「それでシンクロできるという保証は、どこにもない! 失敗して、イノセンスが暴走する可能性だってある」

「ヘブラスカは、覚悟が必要だって言ってた……っ」

リナリーは引かなかった。


「イノセンスはきっと私を試そうとしてる。……命を懸ける覚悟を私が示せば、きっとシンクロできるわ」

リナリーは、扉についた手をゆっくりと握り込んだ。


「うぅん……絶対してみせる。私……」


言葉が、そこで途切れる。


ラビは、その横顔を見ていた。

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