第48章 【第四十三話】崩れゆくホーム
リンクは壁から顔を上げ、忌々しげに吐き捨てた。
「奴らの狙いは、プラントの『卵』か……!」
この壁の向こうで今、何が起きているのか。
それすら分からない。
「リーバーさんが……科学班のみんなが、この中にいるんだ……っ」
アレンの声は掠れていた。
「くそっ……こじ開けてやる!」
アレンが黒い壁へ一歩踏み出す。
「待て、ウォーカー!」
リンクは通路の先を顎で示し、そちらへ身体を向けた。
「こっちに!」
言うなりリンクが駆け出し、アレンがその背を追う。
ブックマンも続き、ラビも三人の後を追おうとした。
「待て、ラビ」
前を行くブックマンの声に、踏み出しかけた足が止まる。
「お前は、ここから先へ来るな」
「じじい! こんな時に冗談はナシさ!」
「お前のイノセンスは修理中。来たところで、足手纏いにしかならん」
「……っ!」
あの壁の向こうには、リーバー達がいる。
それなのに、自分には戦うための武器さえない。事実だからこそ、何も言い返せなかった。
「お前は皆にこのことを知らせろ」
ブックマンはそれだけ告げると、アレン達の後を追った。
遠ざかっていく三人の足音を、ラビはただ聞いていた。
「……っ、ちっ……」
ラビは踵を返し、走り出した。
黒い壁の不気味な静けさが、いつまでも背中へ貼りついていた。