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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第48章 【第四十三話】崩れゆくホーム




――ズン。

本部の奥で何かが爆ぜ、鈍い振動が足元を伝った。

それとほぼ同時に、喉元の紋章が、びり、と熱を持つ。



遠くで、濁った気配が幾重にもざわめいた気がした。



輪郭は曖昧で、どこから届いているのかも分からない。

ただ、ひとつの気配ではなかった。



――危険。

――ラビは。


今日はまだ、来ていない。

どこにいるのか分からないことが、一番怖かった。



――一人で何とかしようとする前に、ちゃんとオレ呼べよ。

あの病室で交わした約束が、足を止めた。


けれど、迷っている間も二人のエクソシストは戦っている。

さっきの放送が、それを告げていた。



壁から背を離した。


喉元の熱は、いつまで経っても引かなかった。

ぼやけたざわめきの奥に、消え入りそうな何かが混じっている。



紋章が脈打つたび、意識が僅かに同じ方向へ傾いた。


――こっちだ。


重なり合う気配の底で、何かが泣いている。

そんな気がした。


頭で考えるより先に、身体が方角を知っていた。



脇腹が痛む。

まだ、まともに戦える状態じゃない。

そんなことは、自分が一番よく分かっていた。



約束を破るのだと、分かっていた。

分かっていて、走った。



黒いブーツが石床を蹴り、白い上衣の裾が翻る。


「ティファ! どこへ行くの!」

婦長の声が、背中を追ってくる。

「戻りなさい! そんな身体で――!」



振り返らなかった。


振り返ったら、たぶん止まってしまうから。


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