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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第47章 【第四十二話】『私』として、ここに



「……俺は帰る」


「医療棟まで自分で来ておいて、今さら何を言ってるんだい?」

「処置のついでだ」
「処置室は、一つ下の階だろう?」

短い沈黙。

思わず、口元が緩んだ。


「それに、鍛錬中もずっと上の空だったじゃないか。気になるなら、素直に顔を見ればいい」


「……余計なこと言わないで下さい」

「まあまあ、神田。顔を見るだけでもいいだろう」

今度は、マリの宥めるような声だった。



やがて、病室の扉が開く。


最初に入ってきたのは、ティエドール元帥だった。

その後ろにマリ。


最後に、ひどく不機嫌そうな顔をした神田が立っている。


その手には、淡い青と白の小さな花束が握られていた。

思わず目を瞬く。


「やあ、ティファ。起きていたんだね」

ティエドール元帥が柔らかく微笑んだ。

「顔色も少し戻ってきたようで安心したよ」


マリも頷く。

「無理に身体を起こさなくていい。そのままでいてくれ」


私は頭を下げた。


その間も、神田は扉の傍から動こうとしない。


「ほら、ユーくん」

ティエドール元帥に促され、神田の眉間へ深い皺が刻まれた。

それでも、帰りはしなかった。


舌打ちをひとつすると、ベッドの傍まで歩いてくる。

そして、持っていた花束をこちらへ突き出した。


「……ん」


何を求められているのか分からず、花と神田の顔を交互に見る。

神田の眉間の皺が、さらに深くなった。


「受け取れ」

慌てて両手を伸ばす。


腕を上げた際に脇腹へ痛みが走り、受け取った花束が傾いた。

落ちるより先に、神田の手がその下を支える。


「……危なっかしいな」

低く零しながら、花束を私の腕の上へそっと置いた。

その手つきだけは、言葉よりもずっと静かだった。


「ユーくん。それだけでは、何も伝わらないよ?」

ティエドール元帥が、困ったように眉を下げる。


「せっかく私が、ティファに似合う花を用意してあげたのに」

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