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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第47章 【第四十二話】『私』として、ここに


即答するラビに、思わず肩が揺れた。


笑っただけで脇腹は痛む。

今は、その痛みさえ、ちゃんと生きている証に思えた。



コムイさんは医療記録を抱え直し、扉へ向かう。


「ラビ、本当に十分だけだからね。ティファちゃんを疲れさせたら、次から面会禁止にするよ」

「分かってるさ」


扉が閉まった。



病室には、私とラビだけが残された。


夕暮れの光が、白いシーツへ淡く落ちている。

医療器具のかすかな駆動音。

互いの呼吸。


それから、まだ繋がれたままの手。



ラビは椅子へ座り直し、しばらく何も言わなかった。

いつもなら、くだらない話の一つでも始めるはずなのに。今はただ、繋いだ手を見つめている。

その指先が、ときおり確かめるように動いた。


私がまだここにいることを、何度も数え直しているみたいに。


そんな横顔を見つめた。

肩の包帯。
腕の傷。

私がつけた傷。


ペンを取り、メモ帳へ文字を書く。

『ごめんなさい』


ラビの眉が寄った。

「それ禁止」


目を伏せる。


ラビは声を落とした。

「謝んなって言ってるわけじゃねぇよ」


翠の瞳が、真っ直ぐこちらを捉える。

「でも、今のお前が最初に言うこと、それじゃねーだろ」



指先が止まった。

ラビは、繋いだ手を包み直す。


「痛ぇとか、怖ぇとか、そーいうの先に言えよ」

息を呑んだ。


「お前、また自分より先にオレのこと考えてんだろ」

図星だった。


自分の力が怖い。
また暴走するかもしれない。

またラビを傷つけるかもしれない。


それでも、一番初めに浮かんだのは、彼の傷への罪悪感だった。


震える手で、一文を書く。


『怖い』

その文字を見た瞬間、ラビの表情が変わった。


からかいも、怒りもない。

ただ、私の言葉を受け止めるように頷いた。


「……ん」


続きを書く。


『また、誰かを傷つけるかもしれない』

『また、自分じゃなくなるかもしれない』


涙が一滴、紙へ落ちた。

文字が滲む。


ラビは、メモ帳を取り上げなかった。
書くことを止めもしなかった。

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