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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第47章 【第四十二話】『私』として、ここに



「……ラビが……」

喉が引きつる。

続きを口にすることを、身体が拒んでいる。


だけど、どうしても、伝えたかった。


「……生きてる……から……」

ラビの表情が止まった。



彼は、いつものように笑って返そうとしたのかもしれない。

上手くいかなかった。
唇の端が震え、翠の瞳がひどく歪む。


「……当たりめぇだろ」

掠れた声だった。


「勝手に殺すなよ」

軽く言ったはずの言葉は、少しも軽く聞こえなかった。



ラビは視線を落とした。

膝の上で握られた拳が、震えていた。


「もう……目ぇ、開かねぇかと思った」

ラビの声が低くなった。

「呼んでも動かねぇし、血は止まんねぇし……医療班に渡した後も、お前がそのまま消えんじゃねぇかって」

そこで言葉が途切れた。


息が詰まる。



最後に見た光景が蘇った。


銀白のレイピアを、自分の脇腹へ突き立てた瞬間。

自分を刺しても止まらず、なおラビへ刃を向けようとした身体。


血を流しながら、私を抱き締めてくれたラビ。



――もう一人で止めんな。

――オレまで勝手に置いてくな。


その声だけは、意識を失う直前まで、はっきりと聞こえていた。



白いシーツの上で指先を動かす。

ラビの手が重なった。


大きくて、温かい手。

強く握り締めるのではなく、ここにいると伝えるように、指先まで包み込んでくれる。


「……もう喋んな」

ラビは俯いたまま言った。

「起きたのが分かりゃ、それでいい」



涙を堪え、頷いた。

その時、病室の扉が静かに開いた。


「……よかった」

堪えきれないような声とともに、リナリーが入ってきた。


彼女もまだ療養中なのだろう。

顔色は悪く、壁際の椅子へ手を添えている。
それでも、泣きそうな顔で笑っていた。

「本当に……よかったよ、ティファ」


その少し後ろには、アレンがいた。

包帯の巻かれた身体で、こちらを見つめている。


普段なら真っ先に駆け寄りそうな彼が、今はどこか遠慮するように立ち止まっていた。


その瞳が、赤かった。


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