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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第46章 【第四十一話】特別という祈り



そして。

廊下で怯えていたファインダーたちの顔が、脳裏へ蘇った。


次も生きて帰れるのかと、震えていた。


あの恐怖は、消すべきものではなかった。

生きたいからこそ、怖かったのだ。


仲間を失いたくないから。
自分も死にたくないから。

それでも逃げずに、教団に残ろうとしていたから。



あの恐怖も、痛みも。

彼らが生きているからこそ抱いた、大切な心だった。



ティファの指が、ラビの団服をさらに強く握った。


「……消したくない……」

喉が裂けるように痛む。
それでも、言葉を止めなかった。

「……消しちゃ、いけない……っ」


白銀の光が、激しく揺らめく。

頭の中の声が、さらに強く響く。


――怖いのは、つらいでしょう。

――痛みは、消してあげられるの。

――皆が、それを望んでいる。


「違う……っ!」

ティファは、ラビの胸元へ縋りながら叫んだ。


「痛みを消して……跪かせる歌なんて……歌いたくない……!」

銀光が、二人の周囲で荒れ狂う。

「私は……それでも立とうとしてる人の傍に……いたい……っ」


傷ついたことまで、なかったことにはしたくない。


アレンも。
リナリーも。
神田も。

皆、大切だった。

傷つけば苦しい。失いたくない。

けれど。


ラビを思う時だけは、それとは違う熱が胸に残る。


傍にいたい。失いたくない。

この人を愛しいと思う自分を、消したくない。


どちらも、確かに自分の心だった。



――そんな心が、あなたを壊すの。

頭の奥で、声が囁く。


――だから、消してあげる。

胸の内側で、穏やかな熱が広がりかけた。

「勝手に……決めないでよ……っ」


白銀のレイピアを握る指に、最後の力を込める。


「痛いって分からなくなったら……誰の痛みも分からなくなる……っ」


白銀の光が大きく揺れる。



「そんな私が……誰を救えるっていうのよ……っ!!」



声が、止まった。

あれほど頭を満たしていた囁きが、答えを返さない。


代わりに、自分の鼓動だけが聞こえた。


そして。


バキィン――!!

激しい破砕音が、処置室に響き渡った。


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