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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第46章 【第四十一話】特別という祈り



「……嫌……」

涙が、止まらない。


「嫌……もう嫌……っ」



自分を傷つけても、止められない。

ラビを守ることすらできない。


心が、絶望へ沈みかける。



――もう、頑張らなくていいの。


――誰も選ばなければ、誰も失わずに済むでしょう。


――手放してしまいなさい。あなたが楽になれるように。


声が、外から聞こえた気がした。

それとも、自分がそう思いたいだけなのか。


もう、分からない。
 


「……違う……」

ティファは、血に濡れた床で首を横へ振った。


「違う……っ」

銀光が、再び膨れ上がる。


「ティファ!!」

ラビが叫んだ。

傷ついた身体で、真っ直ぐティファへ踏み込んでくる。



「来ないで……っ!」

ティファは泣きながら叫んだ。


「ラビ……死んじゃう……っ!」

「ふざけんな」

腹の底から出た声だった。


ラビの目が、苦しげに歪む。


「勝手に一人で終わろうとしてんじゃねぇよっ!!」

ティファの呼吸が止まった。


ラビは白銀の切っ先を身体の外へ押し逸らし、その内側へ踏み込んだ。

刃を振るうための間合いを、自ら潰す。

そして、刃を握った右腕ごと、ティファの身体を真正面から掻き抱いた。


右腕を振るう余地さえ残さないほど、強く。


「っ……!」

行き場を失った銀光が、二人の周囲で暴発した。



ラビの肩へ。

腕へ。
背中へ。

細い裂傷が幾つも走り、焼けるような痛みに彼の顔が歪む。


それでも、抱き締める腕は緩まなかった。


「ラビ!!」

リナリーの悲鳴が響く。


アレンが、防護壁から一歩だけ後ろへ下がった。

神ノ道化の左腕を、大きく振り上げる。


「アレンくん!」

コムイが叫ぶ。

けれど、アレンは止まらなかった。


「こんなもの……っ!」

ガァン――!!

神ノ道化が、防護壁へ叩きつけられた。


半透明の壁が大きく撓み、床の術式が眩く発光する。

亀裂一つ、入らない。


「っ……!」

アレンは奥歯を噛み、もう一度左腕を振り上げた。


「開け……っ!」

二度目の衝撃が、処置室を揺らす。


防護壁の表面に幾重もの光の波紋が広がり、神ノ道化の力を外側へ弾き返した。


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