第46章 【第四十一話】特別という祈り
計測器が、激しい警告音を鳴らす。
「エネルギー値が限界を超えます!」
ジョニーの声が裏返る。
「このまま放たれたら、防護壁ごと……!」
ティファには分かっていた。
次の一撃は、先ほどまでの比ではない。
このまま放たれれば。
ラビを、殺す。
「……いや……っ」
ラビは、まだ目の前にいる。
血を流して。
傷だらけで。
それでも自分から目を逸らさず、右手首を掴み続けている。
「……逃げて……っ」
声が崩れる。
「お願い……ラビ……っ」
ラビの手が、僅かに強張った。
それでも、離れない。
「置いてけるかよ……」
絞り出すような声。
「こんな顔してるお前を……一人で置いてけるわけねぇだろ……っ!」
胸の奥で、何かが決壊した。
このままでは、ラビを傷つける。
自分の身体が止まらないなら。
この刃が、彼へ向かうのなら。
止めるには――。
ティファは、右腕を押さえ込んでいた左手から、力を抜いた。
震える掌を、ラビの胸元へ押し当てる。
ラビの両手は、まだ右手首を掴んでいた。
「……ごめんね」
ラビの目が、大きく見開かれた。
その言葉は。
霧の中で。
手が、離れていく直前に――
「ティファ……!!」
次の瞬間。
ティファは残る力の全てを左腕へ込め、ラビの胸を思い切り突き放した。
「っ……!」
不意を突かれたラビの身体が、後ろへよろめく。傷ついた肩が大きく揺れ、右手首を掴んでいた指が緩んだ。
ティファは、その隙に腕を振り解いた。
ラビが体勢を立て直し、再び手を伸ばす。
その指が届くより早く、ティファは左手を白銀の柄へ戻した。
両手で柄を握り、ラビへ向いていた切っ先を、右腕ごと無理やり自分の側へ捻じ曲げる。