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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第46章 【第四十一話】特別という祈り



「お願い……逃げて……っ!」

ラビは、一歩も引かなかった。
その目は、ティファだけを見ている。



「逃げねぇよ」

静かな声だった。


「お前を置いて、逃げられるわけねぇだろ」

「だめ……っ!」

ティファの右腕が震える。


左手で押さえようとした、その瞬間。
白銀の光が大きく跳ね、左手首を掴んでいたラビの指を弾いた。


「っ……!」

自由になった左手を伸ばすより早く、ティファの身体が強く前へ引かれる。

寝台から引きずり下ろされるように、裸足が白い床へついた。


白銀の切っ先が、一直線にラビへ走る。

ラビは咄嗟に身体を捻った。
けれど、完全には避け切れなかった。

光の刃が肩口を裂き、鮮血が散る。


「っ……!」

「ラビ!!」

リナリーの悲鳴が響いた。


白い床へ落ちた血を見た瞬間、ティファの瞳が絶望に揺れる。


「……ぁ……」

傷つけた。



ラビを。



自分が。



「違う……違うの……っ!」
「分かってる!」

ラビの声が飛ぶ。

肩から血を流したまま、それでも後ろへ下がらない。


「お前がやってんじゃねぇことくらい、分かってる!」


光のレイピアが、再びラビへ向く。


「来ないで……っ!」

ティファは泣きながら、必死に右腕を押さえ込んだ。


「お願いっ……近づかないで……っ! 私、また……!」

「ティファ」

ラビが、一歩踏み出した。


「オレを見ろ」
「だめ……っ!」

「お前、本気でオレを傷つけたいわけじゃねぇだろ」


また一歩。

「今泣きながら止めようとしてんのは、誰だよ」
「でも……止まらない……!」

右腕が軋む。

刃が、ラビへ向かおうとする。


「私だって……戻りたい……っ!」

喉の傷が裂けるように痛む。

「でも、身体が……言うことを聞かないの……っ!」


「だったら、もう一人で止めんな」

言い聞かせるような声だった。


次の瞬間。

僅かに刃の動きが鈍った隙を逃さず、ラビが一気に距離を詰めた。

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