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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第46章 【第四十一話】特別という祈り


コムイたちが、一斉に顔を上げる。

「ラビ、何を言ってるんだ! 君は今、イノセンスも手元に無いんだぞ!」

ラビは振り返らなかった。

ティファの左手首を掴んだまま、白銀の光の中に立ち続けている。


「オレは、ここに残る」
「でも、君まで影響を受けたら――」

「こんな状態のこいつを、一人にできるわけねぇだろ!」


ラビは、ティファだけを真っ直ぐに見つめていた。


「消させねぇよ……っ」

その声が、白銀の光の中へ落ちる。


「『お前』を絶対に消させねぇ……っ」


リナリーが、青ざめた顔で防護壁へ両手をついた。
アレンも、何かを言いかけたまま唇を噛む。

神田は拳を防護壁へ叩きつける寸前で止め、低く吐き捨てた。

「……クソが」



ティファには、周囲の声が遠かった。



頭の奥へ、優しい声が流れ込んでくる。



その人を手放せばいい。


誰か一人を求めるから、苦しくなる。



全てを等しく愛せば、もう痛まない。



「……嫌……」

ティファは、首を横へ振った。

「嫌……よ……」




その人がいる限り、痛みは終わらない。

その人さえ手放せば、皆を救える。



――救済の器に、個人的な恐怖や執着は不要だ。


あの男の声が、重なる。



「なら……それでいい……!」

喉の痛みに声を途切れさせながら、それでも叫ぶ。


「私は……聖女になんて……!」

言い切る前に、喉元の光が弾けた。

キィン――。

高い共鳴音が、処置室を震わせる。


ティファの右手へ、白銀の光が収束していく。


細く。
鋭く。

月光を削り出したような、光のレイピア。


アレンの顔色が変わった。

「……まずい!」


「ティファ……!」

リナリーが、息を呑む。



ティファの右腕が、ゆっくりと持ち上がった。


止めたい。

だけど、力が入らない。




切っ先は、真っ直ぐラビへ向けられていた。



「……っ」

ティファの顔から、血の気が引く。


違う。


斬りたいわけではない。

傷つけたいわけではない。



「ラビ……逃げて……」

涙で視界が滲んだ。

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