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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第44章 【第三十九話】優しい歌の檻


翌日。

また、ラビが静養室へやって来た。


昨日のように扉を勢いよく開けることはなかった。
控えめにノックをして、少し待ってから静かに入ってくる。


その違いに気づいた時、ティファの胸が僅かに揺れた。


「よっ」

ラビは、いつも通りみたいに片手を上げる。

「今日、婦長いなくて超ラッキー。昨日の耳、まだ痛ぇもん」


ティファはベッド脇に置いていた本から顔を上げ、少しだけ目を細めた。


ラビは昨日と同じ椅子へ腰を下ろす。

それから、取り留めのない話を始めた。


コムイが「リナリーが痩せた!」と騒ぎ出し、科学班総出で栄養メニュー表を作らせた話。


アレンが病室へ大量の料理を持ち込み、婦長に本気で怒鳴られていた話。


神田が廊下でアレンと口喧嘩になり、止めようとしたラビまで巻き込まれた話。



「オレ、何も悪くねぇのにユウの蹴り飛んできたんだけど。理不尽すぎねぇ?」

不満そうに肩を竦める。


ティファは、ときどき小さく肩を揺らした。

声は出ないけれど、昨日より自然に笑える。


ラビも、それ以上何かを求めることはせず、ただ話し続けてくれた。


けれど。


ふと、話が途切れた瞬間だった。

ティファの指先が、無意識に喉元へ触れた。


包帯の下。
『ニルヴァーナ』が、微かに熱を持っている。



――その“皆”は、救いを与え続ける君を、本当に手放せるのかな。


ヴェインの声が、また頭の奥へ落ちる。


ティファの表情から、笑みが消えた。

ラビの声も止まる。



「……ティファ」

呼ばれた声が、先ほどまでより少しだけ低い。

ティファの肩が、僅かに揺れた。



ラビはすぐには続けなかった。

椅子に座ったまま、こちらを見る。


「昨日からさ」

静かな声だった。

「何か、変じゃねぇ?」

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