第44章 【第三十九話】優しい歌の檻
和やかな空気が、静養室へゆっくり広がっていた。
リナリーは安心したように笑い、アレンも穏やかな顔でティファを見ている。
その中で、ラビだけは相変わらずティファのすぐ横を陣取っていた。
「いやー、でもホントよかったさ」
椅子へ深く座り直しながら、ラビが笑う。
「目ぇ開けた時、マジで肝冷えたもん」
ティファは少し困ったように目を細めた。
ラビは、その顔を見てわざとらしく肩を竦める。
「何その顔。オレだって心配くらいするっつーの」
ティファはメモ帳へ手を伸ばした。
『あなたも倒れたって聞いたけど』
その文字に、ラビの表情が僅かに引き攣る。
「あー……それは、その……」
アレンがすぐに口を挟んだ。
「ティファを医療班へ渡した直後、綺麗に倒れました」
「アレン!」
「本当のことじゃないですか」
リナリーも小さく笑う。
「ずっと無理して立ってたんだよ。ティファを担架へ移すまで、絶対に離さなくて」
ティファの手が止まった。
視線が、ラビへ向く。
ラビは、居心地が悪そうに片目を逸らした。
「……別に、大したことじゃねぇさ」
軽く言う。
けれど、包帯の巻かれた腕が椅子の肘掛けの上で僅かに動く。
ティファは、胸の奥が熱くなるのを感じた。