第6章 甘味昏々
「さ、高専で働いたら?」
意を決してそう提案してみた。
高専にいたら今と変わらず一緒にいれる。
は自分の術式は使えない術式だって思ってるみたいだけど、絶対何かの役に立つ術式のはず。
そしたら、人のために何かするっていうことに少しでも心が動くんじゃないか?
はようやく漫画から顔を上げて俺を見た。
「は?ヤダよ。アタシ、高専キライだもん」
「え、なんで?」
「だって、いかにも善人ですって感じの奴らばっかじゃん」
そりゃ、だって術師集団だもの…
「そんなかにアタシみたいなのが馴染めるワケないじゃん。水と油だよ、水と油!」
あぁ、そうか…
ってまだ自分のこと、許せてないんだ。
悪い奴だって。
だから真っ当な道を選んじゃいけないって。
そんなことないのに。
いつからだって。
今からだって。
どうにだって、変われるのに。
俺がそうだったから。
にもそれを知ってほしい。
「、高専って言ったって仕事は術師だけじゃないんだ。俺だって、すっげーしょうもない使えない術式だけど何とか働けてるし。の術式ならいくらでも役に立てると思う!」
「、頭いいし、絶対他の仕事だってこなせると思うし!」
「前に医療班の手伝いしてくれた時とか家入さんも助かったって言ってたし!」
「俺、日下部さんとか家入さんとかに聞いてみるから!それでダメだったらその後のことは一緒に考えるから!」
俺の熱いプレゼンを始終白けた目で眺めてたは、やれやれって感じで溜息をつく。
「まぁ、別にいいけど…やってみれば?」
めっちゃ他人事…
でも、絶対、何が何でも、が高専で働けるようにする!
そうなったらもうあと二週間しかない。
グズグズしてられない!
俺はカバンを漁ってメモを取り出して、書かれている番号に電話をかける。
何回かコールがなった後。
「はい、日下部ー」
気だるい感じで日下部さんが出てくれた。
「あ、日下部さん!今、時間ありますか?……あ、ちょっとのことで相談があって……いえ、違います違います!それは絶対ないです!……ちょっと連れてそっち行ってもいいですか?……いえ、それとも違いますって!じゃあ、今からそっち行きますから!」