第5章 旨いバランス
「…じゃあ、ハグ…いいスか…?」
悩んだ末のハグ。
妥当か?
いや、まだ早い、か?
わからない。
わからないからの反応を伺うと。
「……いいよ」
ヨッシャー!セーフ!
再び心の中でガッツポーズをとる。
「…私、どうしたらいい?」
「えっと、はそのままで」
俺は今の横並びの体勢のまま、そっとの肩を抱いた。
これがハグと呼べるかはわからないけど、真正面からとか真後ろからとかよりはハードルが低いんじゃないかなって思った。
けど肩に手がかかった瞬間、が固まったのがわかった。
「これは?怖い?」
俺は労わるようにの肩を撫でた。
「…びっくりしただけ…大丈夫」
「そか…もうちょっとこのままでもいい?」
「いいよ…てか、ハグって言ってこれでいいの?」
「まぁ、まずはこのくらいで」
「ふーん」
いつの間にかの身体から固さがとれて、いつもじゃれてくる時みたいに俺の腕に頭を預けてきた。
「…頭、乗せていいよ」
「え?」
「この前、私の頭に乗せようとしてたじゃん」
「バレてた?」
「バレバレ」
ご厚意に甘えての頭に頭を寄せる。
少しだけ自分の体重を預けると少しだけ気持ちが落ち着く気がする。
「…手も、いいよ」
の手が俺の太ももに置かれた。
「手も触ろうとしてたでしょ?」
「バレてた?」
「バレバレ」
何でもバレてんじゃん。
でも、それだけも俺の機微を気にしてくれてたってことだよな。
太ももに置かれた手に自分の手を重ねて、指と指を組むように絡めてみる。
「の手、ちっちゃくて柔らかい。スベスベしてる」
「そういうレビューいらないから」
「そう?余裕で星5つけるけど」
「…バカ」
二人並んで、肩抱いて、手を繋ぎながら、こんな会話して…
めちゃくちゃカップルみたい。
すげー幸せ…
「こんなので幸せ感じるの?」
「え?」
「ん?」
「俺、今、しゃべってた?」
「しゃべってたよ。『すげー幸せ』って」
心の声がダダ漏れで恥ずい。
ちょっとだけ顔が熱くなった。
「私、甘い物食べてる時が一番幸せ」
「だな」
「でも、こうやって甘井にくっつくのも結構悪くないって思う」
「そか…ありがとう」