第5章 旨いバランス
「そんなにセックスしたいの?」
セックスが嫌いなには本当に理解に苦しむのかもしれない。
「したい。けど、セックスがしたいんじゃなくて、とセックスがしたい」
「……」
「この前、がキスしてって俺からキスするの許してくれた時、めちゃくちゃ嬉しかったし、すごく気持ちよかった。きっとセックスもそうなんじゃないかって思う」
「……」
「今すぐじゃなくたっていいから。考えてくれるだけでいいから。のタイミングでいいから」
「……いいよ」
「え…?」
「だから、いいよって。どこでもいいんだろ?」
「いい!本当、指でも髪でもどこでもいい!」
「そ…じゃあ…ん」
そう言って目の前に差し出されたのはの右足だった。
さすが…こんな時でもしっかりマウント取ってくる。
けどな、俺がそんなので怯むワケないだろ。
俺は小さい爪にキラキラのペディキュアが塗られた足を下から優しく掬うように持ち上げると、足の甲にキスをした。
で、ドヤ顔でに視線を送る。
は盛大に顔を顰めた。
おいおい、自分から振ってそれはないだろ。
「もっと触ってていいの?」
唇だけ離して、足に向かってそう言う。
いいって言われたらもう舌を這わせるしかないな。
けどは舌打ちして、
「くすぐったいからもうやめて」
って不機嫌そうに言った。
「はい!」
勝った…!
なんか知らないけどそう思えて、心の中でガッツポーズをとる。
俺は手にしてた足をゆっくり床に置いた。
「どーすかね?」
「…甘井がド変態だっていうことはよくわかった」
「と、いうことは?」
「…とりあえず、こっち座って」
がの隣を叩くから、素直にそこに座る。
座ってみると結構近くて、横を向いたら膝がぶつかりそうだからとりあえず前を向いて横並ぶ。
「…さっきのって、本当?」
「さっきのって?」
「…嫌なところは触らない、とか…嫌だったら途中でやめる、とか…いきなりセックスまでいけなくてもいい、とか…」
「本当に決まってんじゃん。てか、そんなの当たり前だろ」
「…当たり前、か…」
は焦点の合わない瞳で何か思いに耽っているみたいだった。