第5章 旨いバランス
それからのはほとんど部屋にいることはなくなった。
日中も一緒にいなくなった。
飯は一人で食べてるのか、それとも食べてないのかもわからない。
講習はちゃんと受けてるからそこでの様子がわかる。
外での美少年フェイスは消えて能面みたいな無表情に変わって、その落差からかもともとを囲んでいた周りの奴らすら声をかけられないでいた。
周りから見れば俺らがケンカでもしたんだろうって思ってるんだろう。
だからかどうかはわからないけど、俺という壁がなくても誰もに近づかなかった。
それでも、毎日シャワーを浴びに部屋に戻ってきた。
時間は夜だったり朝だったりまちまちだけど、それでも毎日戻ってくる。
シャワーを浴びてまたどこかに行っちゃう時もあれば、ソファで丸まって仮眠をとる時もある。
本当に野良猫みたいになってしまった。
時間が合った時に「朝飯、食いに行かない?」って聞いたことがあったけど、「…いかない」と目も合わせずに言われた。
取り付く島もないけれど、無理に縋って完全に帰ってこなくなってしまうのが怖くて俺からアクションを起こすことができなかった。
そんな生活が2週間くらい続いた。
ある日、廊下を歩いているとすれ違った三人組の男達の会話が耳に入った。
「お前、また77番とヤッたの?」
え?77番って…?
思わず振り返る。
「一人で寂しそうにしてたからちょっと構ってやっただけだよ」
「それにしたってお前、見かけたら毎回ヤッてんじゃん」
「アイツ、上手いけどすぐハメてくんじゃん」
「それをどうやって攻略するかが燃えんじゃん?」
「でも、結局毎回ヤラれてんだろ?」
「まぁ、それは、な。今度は俺がヤッてやんよ」
笑いながら離れていくその会話に目の前が白くなりかかる。
、お前、何やってんの?
それを考えると今度は頭に血が昇るのを感じた。
アイツらに、話、聞かなきゃ。
俺はほとんど走っているような早足で三人組を追いかけて、「今度は俺がヤッてやる」って言っていたヤツの肩を掴んで無理矢理こっちを向かせた。
「…今…77番の話、聞こえたんだけど…」
振り向いたヤツは俺の顔を見ると「げ…75番…」って呟いたところを見ると、俺がの連れだって認識はあるようだ。