第5章 旨いバランス
あぁ、。
…
…
抱きしめたい気持ちを拳を握って我慢する。
その気持ちは再び重ねられた唇に全部乗せる。
…
俺…
キスをすればするほど、高ぶる気持ちと昂る身体。
にもきっと伝わってる。
口を離されるのが、身体が離れていくのが、名残惜しい。
はいつも通り、俺のモノを出すためにズボンに手をかけて勝手知ったる感じでスムーズに取り出す。
ガチガチの俺を満足そうに見つめると舌を這わせる。
三日ぶりの感覚は何回やっても慣れることはなくて、震えるほど気持ちがいい。
このままいつも通りこの快感に流されて、の望むものを出してやればいいんだ。
いつもなら流されるのは何だかモヤるんだけど、今この瞬間に至ってはそれでいい。
そうじゃなきゃ困る。
大丈夫、すげー気持ちいいから、このまま。
なのに、が俺のを深く咥え込んで俺の足と足の間に埋まるの後頭部を見た瞬間、頭を押さえつけられてるの写真がストロボのように脳内に瞬いた。
まただ…
なんで…?
の口の中にあるモノが急速に縮んで、あんなに気持ちよかった感覚もぼけていく。
それでもはしばらく口の中でそれを転がしていたけれど、どうしようもないってわかったのかプッと吐き出した。
「ねぇ…」
が下から俺を見る。
さっきまであんなに温かかった瞳から温度が引いている。
「昨日のは疲れで、今日のこれは何なの…?」
声は抑揚がなくて静かで、感情が見えない。
「ご、ごめん…」
俺はそれしか言えなくて、はただ俺を睨めつけている。
その静けさの先に嵐が待っているようで、怖い。
が勢いよく立ち上がって、俺は反射的にビクリと肩を上がった。
は思いっきりゴミ箱を蹴り倒してからそのままドスドスと荒々しく部屋を出ていった。
それだけ。
部屋はまた静かになって、耳鳴りがした。