第5章 旨いバランス
そこから晩飯中、はずっと機嫌が良さそうだった。
食べながら今読んでる漫画の話とかしてたし(いつもは話さない)、いつもは残す野菜のおかずもさらっと食べてた(食べれんじゃん)。
いつもはくれない(むしろ俺のが取られる)デザートも一口くれた。
外ではいつも「ボク」って言うのに、今は時々「アタシ」って言ってるのをは気づいてない。
おいおい大丈夫か?って周りを見てみたけど、そもそもピークタイムは過ぎてるし、端の席だから大丈夫だろうと指摘はしなかった。
あんな下手くそなキス一つでこんなに機嫌良くなるもんなのかと不思議ではあるけど、実際そうなってるならそれでよかった。
の過去を消すことはできないけど、こうやって何でもないことで笑って過ごしてくれるならあんなキスで良ければいくらでもする。
で、部屋に戻ればに手を引かれてソファに座らせられて、は俺の上。
いつものホームポジション。
「じゃ、していい?」
「あ、うん」
もともとそういう約束だったんだけど、改めて訊かれるとちょっと照れる。
は嬉しそうに笑うと唇を合わせてきた。
いつもならすぐに舌入れて俺を味わおうとするくせに、今日は柔らかい感触を楽しむように何度も何度も唇を喰んでくる。
たまに唇を軽く舐められてやっと舌が入ってくるのかと思って口を少し開けてもいつまでも入ってくる様子がない。
これじゃ俺がを待ちわびてるみたいでちょっと恥ずい。
そんなことが何回も続いて痺れを切らして俺も舌でを迎えに行ってしまう。
少しだけ出てきた俺の舌を待っていましたとばかりには絡め取る。
舌先でじゃれついてきて気持ちいい。
口の中、擦られて気持ちいい。
さっき苦労したばかりだから、キスしてても「あ、ここって気持ちいいんだ」って気づいて、「今度にもやってみよう」って思えた。
で、そんなこと思いつつもいつも通り俺のモノはしっかり反応して、しっかり固くなってる。
の過去を知ってしまった今ではそういうことするのはかなり気まずい。
でも今日は三日に一回ののご褒美の日でも、一週間に一回の俺のご褒美の日でもない。
どんなに俺が反応したとしても、そういうことをしなくてもいいのは少し気が楽だった。