第5章 旨いバランス
そのまま頭を何度か撫でてみる。
女の子の頭なんて撫でたことないからこれが正解なのかわからないけど、とりあえず怖がらせないようにゆっくり優しくを心がけた。
の髪は短いけど細くてツルツルサラサラですごく手触りがよかった。
何だかいい匂いもする。
なんで俺と同じシャンプー使ってるのにこんなに違うんだろう?
なんて考えている内に髪の表面を撫でていたはずの手はいつの間にか髪の毛を梳くように指を通していた。
の気が済むまで、いつまでだってやってられた。
けど、しばらくしてからの頭は離れていったので自然と手を離した。
は珍しく伺うような目で俺を見る。
「…キスして」
やっぱり呟くようにそう言っては瞳を閉じた。
え、「キスして」?
「キスしよう」じゃなくて?
いつもからするのに、今日はそっちも俺からしていいの?
自分からキスするっていう意識が芽生えた瞬間、心臓がバクンと大きく動いて、そこからバックンバックンって胸から飛び出そうな程飛び跳ね始めた。
え、キスってどうやるんだっけ?
って、待って。
のキス待ち顔、めっちゃ可愛い。
まつ毛長い。
唇、リップとか塗ってないのにぷるぷるなの見ただけでわかる。
あそこに俺の口を当てる、それだけ。
あんまり待たせたらきっとまた不安にさせる。
よし、大丈夫。
今まで何回もしてた。
俺からするのは初めてだけど。
大丈夫。
あれ?目って閉じた方がいい?
いや、この際どっちだっていい。
あの唇に、触れるだけ。
このまま行けば問題なく唇に到達するって距離まで詰めてから俺も目を閉じて、ゆっくり近づけた。
そしたら。
ふにゅ。
あまりに柔らかい物に当たったことに驚いて、思わず離れた。
いつもの唇は柔らかい柔らかいっては思ってた。
けど、向こうからされるのと自分からするのとでは感覚が段違いだ。
にしても、本当に触る程度のキス。
リップ音すらしなかった。
今どき中学生だってもっとマトモなキスしてるだろ、なんてに悪態つかれることを想像しながら恐る恐るを見ると…
唇を尖らせて拗ねたような上目遣いで俺を見てる。
もう、反則級に可愛い。
で、俺と目が合うと
「もっと、ちゃんと」
って、やり直しを要求される。