第5章 旨いバランス
そんな普通の会話をしながら食堂に向かったし、夕飯を食べてる間も美少年ヅラでキラッキラだったから気づかなかったんだけど、の内心は大荒れだったようだ。
部屋に着くなり壁ドンされて首根っこ掴まれてその場でキスされた。
口の中に差し込まれた舌がいつもより荒々しくて、体勢も相まって苦しい。
だってつま先立ちで食らいついてるから結構キツそう。
だけど、離してもらえる気配がない。
それでもいろいろ限界でギブアップとばかりにの肩をタップすればようやく口は離してもらえた。
も軽く息が上がっているけど、服の首元を握りしめた手は離してくれない。
「…とりあえず…中、入ろ…」
息を整えながらそう言えばは舌打ちして俺を離してドスドスと部屋の中に入っていった。
俺も遅れて部屋に入れば、がソファにバスンって座るところだった。
「んっ」
俺と目が合うと顎で隣に座るように指示してくる。
もう苦笑いしか出ない。
隣に座ったら座ったですぐに跨がってくんのかと思ったら、意外にもそうはされなかった。
黙って少しだけ身体を倒して、俺の肩に頭を預けてくる。
これは…デレなんだろうか…?
正直、まだどこにの地雷が埋まってるのか把握しきれてない俺はこの状況をどうすればいいかわからず、身を固くするしかない。
そうしてる間には俺の肩に頭をグリグリと押し付けてくるし、側にある俺の腕に腕を絡めて、指と指まで組むようにして軽く握ってきた。
これは、デレってことでいいんだろうか?
そっと視線を下げての顔を見てみる。
角度からして全部は見えないんだけど、伏せられて長い睫毛はどこか悲しそうで。
これは、デレとは違うな。
と、決定づけた。
「…なぁ、?」
「…なに?」
「さっきの、日下部さんの、『どうせ脅すか操るかしてんだろ』っていうのムカついた?」
「……別に」
図星の間じゃん。
「あのさ…俺、ちゃんと自分の意志でと一緒にいるって決めてるから…もし、今度日下部さんになんか言われたら、ちゃんとそう言うから…だから、その…日下部さんとか高専の人、っていうか他のやつに術式使うの…やめてくんない?」