第5章 旨いバランス
「“甘井”、もう“いいよ”」
の許可がおりて、ようやく動くことと話すことができるようになった。
「お前ってもしかしてめちゃくちゃ強い術師なの?」
本当、やり口が鮮やかすぎる。
「は?なんで?」
「だって日下部さん、一級術師だぞ?」
「あー、どうりで」
何かを納得したように言うに俺は「?」と視線だけで聞き返した。
「術式の開示して、名前呼ばせて、名前呼んで。あと、言ってねーけど何個か縛りも使ってる。そんだけやっても、あの先生、最後捨て台詞吐いてったじゃん。術式、かかりきってなかった。本当、私のってクッソ弱ぇ術式だよなー」
いやいや、何その過小評価。
、どこ目指してんだよ。
一級術師を無血で退けてんだぞ?
こんなめちゃくちゃ怖い術式そうそうないだろ?
「もうこんな時間だから部屋戻る前に晩ごはんだなー」
晩ごはん前のご褒美タイムを潰されて、ご機嫌ななめのが歩き出す。
俺もつられて歩き出す。
ちなみに普段超絶口が悪いだけど、ちゃんと「晩ごはん」って言ってるのは地味に可愛いって俺は思ってる。
本人には口が裂けても言えないけど。
「でも、。よく術式の開示とか知ってたな?」
死滅回游で術式開花組はそもそも術式の扱い方を知らない。
よく『術式の開示』だの『縛り』だの知ってたもんだ。
「は?甘井、講習、ちゃんと聞いてんのか?今日の午前中にやってただろ」
「え?そうだったっけ?」
「そうだよ。お前、何のために講習受けてんの?」
「ゔっ…」
俺の術式こそ甘い物出すだけで術式強化とか無縁の術式だから、あまり講習を真面目に聞いてなかった。
てか、だってずっと頬杖ついてつまんなそうに聞いてたじゃねーか。
メモだって一切取ってなかったし。
それでこんなすぐに使えるもんなのか?
「お前って天才?」
「甘井がバカなだけだろ?…お前も一回聞いて出来なかったからぶん殴られるような生活したら嫌でもそうなるよ」
いや、どんな生活だよ、それ。
そんなのは絶対ゴメンだ。
明日からはちゃんと講習を聞こう。
マジでそう思った。