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【呪術廻戦】甘味昏々

第5章 旨いバランス


「あ…」

が何かに気づいて、表情を曇らせる。

「ボクの席…」

そう、俺がの為に取っていた席には日下部さんが座っている。
あ、ヤベ…。
俺が咄嗟に日下部さんを見ると意味を察してくれたみたいで日下部さんは立ち上がった。

「なんだここ、コイツのために取ってた席だったのか。先に言えよ」

そして、去り際に俺の耳元で「後で、な」とボソリと呟いてあっさり行ってしまった。
その背中を見送りながら、チラリとの様子も伺う。
は日下部さんを射殺さんばかりの視線を投げている。
それは日下部さんが見えなくなるまで続いて、見えなくなったらまた美少年スマイル。
マジで中国の伝統芸能みたいな鮮やかさ。
笑えねーけど。

「おにいちゃん、朝ごはん、取りに行こう?」

そう言って可愛らしく俺の手を引いて朝飯を受け取る列に並ぶ。
朝飯を受け取って、並んで席に座って食べ始める。

「さっき先生と何話してたの?」

子どもらしいトーンで訊いてくるけど俺にはの腹の底が見えるようで背筋に震えが走る。

「いや、なんか、が部屋から出てくるところ、見られたっぽい」

「ふーん」

何でもないように返事をする。
やっぱり前言撤回。
腹の底が見えなくてめちゃくちゃ怖い。
は和定食の朝飯はほとんど食べないで、グラスに注いだオレンジジュースにガムシロップを入れながら、

「で、また後でアタシの話するんだ?」

美少年声よりもワントーン低い声。
昨日聞いたの声。

「いや、のことは、話さないから…適当に誤魔化して…」

「甘井にそんなこと出来ると思えないんだけど?」

「ゔ…」

「それに、あの先生、アタシのこと知ってるんじゃない?」

「それは俺も思った…」

「そんなんで適当に誤魔化せんの?」

「ゔーん…」

唸る俺には舌打ちをして、ガムシロップを3つ入れたオレンジジュースをストローで一気に飲んだ。
そして、吸った分の息をハーッと吐き出すと。

「じゃあ、もっともっと仲良しになんなきゃな?アタシ達」

ってが出した結論は俺の理解の範疇ではなくて。
でも、ここで一番怖いところはこのやり取りの間、はずっと美少年の顔のままだってこと。
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