第5章 旨いバランス
俺はようやくいろいろ落ち着かせてから食堂へ行き、とりあえず席の確保してに連絡を入れた。
からは「り」とだけ返信があった。
はどんな感じで現れるんだろう?
昨夜から今朝にかけての感じじゃ全く予想が出来ない。
ガックリと大きな溜息をついた時だった。
視界の端で隣の椅子が引かれるのが見えた。
が来たのかと顔を上げると、椅子に座っていたのは日下部さんだった。
朝から棒付きキャンディーを咥えながら渋い顔をして、俺を推し量るように見てる。
いつも気怠げなのに、今日はやけに眼光が鋭い、ような気がする。
「あ…おはようございます」
とりあえず挨拶すると「おはよう」とだけ返ってきて、また俺を見る。
「…え、とー。何スか?」
気まずくなって思わず訊いてしまった。
それでようやく話す気になってくれたのか、日下部さんもさっきの俺に負けないくらい大きな溜息をついた。
「お前、昨日誰か部屋に泊めたか?」
ビクリと身体が跳ねてしまった。
まさか、見られた…?
確証がないとこんな訊き方しないよな?
え、どうする?
本当のこと言う?
どこまで?
それとも相談する?
ここで?
もう来るよな?
でも、答えないと…。
「えーと…はい……でも、なんで?」
「今日、お前の部屋から出てくるのをたまたま見たんだよ」
「あ…そーっスかぁ…」
さっき、部屋出ていく時、はもう完璧に美少年に戻ってた。
だから、ギリ女の子連れ込んだってはバレてないかもしれない。
えっと…職員寮に人泊めちゃいけないとかあったっけ?
いや、それにしても日下部さんのこの雰囲気。
なんでこんなに睨むんだよー…。
「お前、アイツがどんなヤツが知ってて泊めてんのか?それとも…」
「おにいちゃん、おはよー!」
元気で明るい声がすぐ後ろから聞こえた。
お前、そんな声も出せるのかってゾッとした。
振り返るとキラッキラの笑顔の美少年、が立っていた。
昨日よりも更に美少年ぶりに磨きがかかってる。
それが逆に怖い。
「あ、先生も!おはようございます♪」
「…おう」
日下部さんも圧倒されるように返事はしたが訝しげにを見ている。