第4章 塩辛い過去
甘井が回復するまでは時間がかかりそうだからシャワーを借りることにした。
てか、甘井の部屋にシャワーあるのいいな。
お風呂問題深刻だったからマジで助かる。
毎日入りに来よう。
シャワーの使い勝手を確かめながら、たっぷりシャワーを浴びてから適当に借りた甘井のTシャツを着る。
甘井の甘い匂いがするだけで気分がいい。
部屋に戻ると甘井が顔を覆いながら天井見てた。
まだ具合が悪いワケではなさそう。
なんだコイツ?
私が声をかけたら、今度は私が着てる服を見つめて固まる。
何?お気に入りのTシャツ着ちゃった?
でも、脱げとか言わない。
言われても脱がないけど。
「甘井もシャワー浴びてきたら?」
そう促して甘井を部屋から追い出して、私はベッドに寝転がった。
ベッドも甘井の匂いがする。
スマホをいじりながらゴロゴロする。
ここ、最高。
ずっとここにいたいな。
いや、いよう。
いれるようにさっき動画も撮ったんだし。
さっき撮った動画を再生する。
画面に映る私はひどく怯えた顔をしている。
すごく憐れだ。
思わず身体に力が入る。
こんな顔、甘井には見られたくない。
だから、私の顔が映らないように編集する。
声は、このままでいいや。
その方が無理矢理感あって脅しの材料にはいい。
演技ってことにしよう。
甘井がシャワーから出てきた。
私は無理矢理笑顔を作る。
「甘井!ちょっとこれ見てよ!」
さも楽しそうにこちらに呼んで、甘井の反応を見たい。
甘井の顔は一瞬で真っ青になった。
「…ごめん」
小さくて聞き逃しそうになったけど、一応確認の為に「はぁ?」って聞き返す。
なんでお前が謝んの?
「いや…こんな感じで無理矢理ヤってると思ってなくて…もっと優しく…出来たらよかったのにな…て。だから、ごめん…」
深く、深く、頭を下げる甘井の顔は見えない。
なんでそんなに頭下げてんの?
何だか、すごくムカムカしてきた。
私は甘井の顎を掴んで上を向かせた。
眉毛を下げて、申し訳なさそうな顔をしている甘井。
ぶん殴りたくなる。
「あのさー、お前はさ、アタシの術式でこうなってんの!アタシはこれを撮りたくてやってんの!なのに何加害者ぶってんの?なんでアタシが被害者みたいになってんの?逆だろ!お前、被害者なんだよ!」