第3章 苦い行為
吐精後の浅い呼吸を繰り返し、クリアな思考が戻るのを待たずに甘井はに襟首を掴まれ前屈みにされたかと思うと、唇を塞がれた。
そして、驚きで目を見開いている間に先程の口の中に出した自身の白濁をそっくりそのまま口に移された。
途端に口の中に広がる何とも言えない味。
身体が本能的に嚥下を拒絶するほどの苦味。
思わずソファの横に置いていたゴミ箱を引っ掴むと口の中の物を吐き出した。
「ゴホッゴホゴホッ……にっがぃ…」
それでも口の中に残る苦味までは取り切れず、甘井は涙目になりながらむせていた。
「その苦いものをお前はアタシの口に出したんだろ!」
立ち上がり、甘井を見下ろすの瞳の怒りはかなりのもののようだ。
それもそのはず。
としては甘いモノが出てくるものと期待していたのに、それが裏切られた上に甘さとは対極のモノを口いっぱいに出されたのだから。
「ご、ごめん…こんなに苦いもんだって知らなかったから…」
未だに涙目のままオドオドと謝る甘井を見て、怒っていたはずのは世にも珍しいものを見るように目を丸くした。
それに気付いた甘井が
「えっと…何か…?」
と尋ねていた。
「…いや、口に出されたのを口移してやってそんな反応したヤツ、初めてだ。殴られたことはあったけど謝るヤツなんていなかったから」
あっさりとヘビーな過去を曝すに甘井は一瞬思考が停止しそうになった。
(え……殴…?、どんな人生歩んでんの…?)
呆然としかける甘井を余所には再び上に跨ってきた。
「ねえ、口直しさせてよ」
そう言ってまた深く口づけしてねだるように舌を絡める。
まだ残っていた苦味は唾液で流されて、口の中では次第に甘みを感じ始める。
そうして初めて、
(あ、俺ってやっぱり甘いのかな…?)
と自覚が芽生えた。
も甘い物を口にして落ち着いたのか口を離して甘井の首元に顔を埋める。
そして、「ねー、甘井ー」と甘えたような声を出す。
「なんかさー、ガマン汁は甘かったんだよねー。だからさー、苦かったのは元々溜まってた分で次は甘いかもじゃん?」
もう甘井は嫌な予感しかしない。
甘井の返事なんて要していないはそのまま話す。
「だからー、もう一回おかわり♡」