第3章 苦い行為
「そ、んなの…知らねーって」
当たり前だ。
誰も自分の出すモノの味なんて知ろうとする物好きはいないだろう。
は「へー」と言いながらも今度はイタズラを思いついた子供のようにニマニマして、身体を離したかと思うと下へ下がっていった。
ソファの下に膝を折ると甘井の股間に顔を寄せて、スンスンと鼻を鳴らす。
「匂いは美味しそうだけどね」
そうして膨らんだモノに頬を寄せたまま、上目遣いで甘井を見上げてくる。
「ねー、どうする?こういうのってさー、同意なしでやったらハンザイになっちゃうんだよねー。甘井のさ、味見してみても、いい?」
は術式を一切使っていない。
今まで散々好き勝手やっておいて、最後の一線だけは甘井の意思を尊重しているようなテイをとる。
巧妙な手であり、この状況においてはどんな高名な聖職者であっても拒否することは難しいのではないかと思われた。
「いくらでも考えなよ。待っててあげるからさ」
そう言いながらも猫が戯れる程度にモノを弄っている。
その何とも言えない刺激が、もっと確かな快楽を手にしたいという欲求を逆撫でする。
「…ふ……はぁ」
甘井が何も言わないのをいいことには生かしも殺しもしないような戯れを続ける。
(したい……もっと、ちゃんと……)
心も身体も既に回答は決まっているのに、頭と度胸が前に進ませない。
(これ、自分から言わなきゃいけないのか…何て言えばいいんだ…?)
そんな心の内などは手に取るようにわかっているのかクスクスと笑っている。
「甘井のそういうウブいところ、可愛いなーと思うよ。本当なら自分の口で言ってもらうところだけど、可愛さに免じてもう一回だけ訊いてあげる。…味見、していい?」
甘井は顔を真っ赤にして小さく頷いた。
「いいの?」
今度は小さく早く何回も頷いた。
「本当に?」
さすがに焦れったくなって、遂には。
「…いいからっ、味見、していいからっ」
と、恥を忍んで自ら口にしていた。
ハッとしての顔を見れば、したり顔。
「ちゃんと自分で言えんじゃん。じゃ、言質取れたってことで」
甘井のズボンのボタンを外し、ジッパーを下ろす。
少しだけ楽になって甘井が息をついたのも束の間、下着も一気に下ろされて熱を持ったそれがボロンと外気に晒された。