第2章 酸っぱい執着
「俺の術式は体内の糖分を増幅させ、何らかの形で出力する術式だ」
「なにそれ?」
「例えば、身体からプリンを出せたりする」
「え?プリン?」
今まで冷めた声だったのにプリンの名が出た途端、声のトーンが変わる。
コイツ、よっぽど甘い物好きなんだな。
「え、ちょっと出してみてよ」
今までとは打って変わって無邪気さが滲む。
俺は両手を合わせると手の平の上に一口サイズのプリンを出した。
は「わぁ!」と目を輝かせると俺の手から直接プリンを口に入れた。
これは高専の人達から虎杖も言われていたことだけど、よく他人の身体から出てきたものを躊躇いもなく口にできるな、と内心呆れたんだけど…。
の柔らかい唇が手の平に当たる感触にドキリとする。
手についたプリンを舐め取る舌の動きにゾクリとする。
美少年に何させてんだ?という背徳感。
「あまぁい」
俺の出したプリンはの口に合ったようで、恍惚とした顔で俺を見る。
「ねぇ、甘井。もっと」
捕食者のように舌舐めずりする姿が妙にエロい。
これ以上はさすがにいろいろマズイだろ、と自制して、
「いや、これ以上は…ムリ」
と断る。
実際、今日の昼、にフルーツヨーグルトを食べられているから糖分を取れていない。
下手すると低血糖を起こしかねない。
なのに、
「え、ヤダ」
子どもらしいワガママと共に俺の上に跨がって乗ってきた。
近い。
かなり近い。
近くで見ても顔はかなり整っている。
モデル時代はファンとか凄かったんだろうなーとか、まつ毛長くて女のコみてーとか考えていたら、は軽く舌打ちして、
「邪魔だな…」
と呟いた。
何のことかわからないでいると、はおもむろに自分の服の中に手を入れると何やらゴソゴソしている。
そのうち、ジィーとジッパー下ろすような音と、バリバリというマジックテープを剥がすような音がしたかと思ったら、の服の裾からズルリと何か出てきた。
「あー、苦しかった」
はそう言うと手にしたそれをソファにポイッと投げ捨てた。
何かのサポーターみたいに見えるけど…
「これ、何?」
「これ?んー、大胸筋矯正サポーター?」
ジョークなのか本当なのか、はニヤリと笑った顔だけではわからなかった。