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【呪術廻戦】甘味昏々

第2章 酸っぱい執着


「…大、胸筋…矯正、サポーター…?」

なんつー仰々しいものつけてるんだ。
思わずそれを着けてたであろうところに目が行ったが、すぐに目を逸らす。
え?
え?
え?
術式をかけられてる訳でもないのに頭の中が白くなる。
だって、さっきまでなかったところに、膨らみがあったから。
二度見する訳にもいかず、一瞬見ただけのその映像を頭の中に大々的に映し出すしかなくて。
いくら見てもそれは女性を象徴するようなもので。
ソファに無造作に置かれた自称サポーターを振り返る。

「えっと…ブラなの?」

「ブラじゃないよ。大・胸・筋・矯・正・サポーターだよ」

どこかで聞いたことがあるようなやり取りなんだけど、混乱した頭ではちょっと理解が追いつかない。
それすらもは可笑しそうに声を殺しながら笑っていた。

「ウソウソ。それ、いわゆるナベシャツってやつ。胸潰すやつ」

「え…じゃあ…」

「アタシ、女だよ」

「は?…なんで?」

「だって初見で女ってわかるとナメられるだろ?だったら美少年設定の方がいいだろ」

「そういうもん?」

「そういうもんだよ。男にはわかんないかもしんないけどさ」

も死滅回游の生存者。
それなりの処世術っぽいものがあるらしい。
でも、それにしても、擬態が完璧すぎるだろ。
あの講習会場の誰もが性別を偽っているなんて思っていない。
いや、このレベルの美形になると周りからすれば性別なんて大した問題でもないのかもしれない。

「わかった。わかったから…降りてくんない?」

「は?なんで?」

「いや、男女でこの体勢はマズイでしょ」

「男同士ならいいの?」

「それはそれで問題だけど…」

「じゃあ、いいじゃん」

は更に深く跨ってくる。

「あのさー、お前、今どういう状況かわかってる?」

の声がさっきまでの冷めた感じに戻っていく。
実際、正直、今の状況はわかってない。

「甘井はさ、アタシのごほーび」

あ、聞いたところでわからなかった。

「美味しそうだから食べられちゃうってこと。意味、わかる?」

今度のは何となくわかったけど、たぶんの言ってる意味と俺が想像してる意味は違うと思う。

「じゃ、甘井。キスしようか」

そう言って返事をする前に唇が塞がれた。
それが30分前の話。
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